私の愛しいポリアンナ
「虐待ってこと?」
「はい、まぁ、そうだったんでしょうね。そのすぐ後にタツヤの両親が夜逃げしちゃって、本当のところはわからないですけど」
「それでタツヤは施設にっていうオチ?」
「いえ、おばあちゃんがいたので、タツヤはそのままの家で過ごしてましたけど。その時から、私は放課後はタツヤをウチに呼ぶようになって」
タツヤの両親がいなくなっても、みのりは不安だった。
不安というか、何かいやな予感がしていた。
タツヤを家に帰したら、悪いことが起きるんじゃないかと、理由もなく怯えていた。
「お菓子を一緒に食べたり、タツヤが気に入りそうなアニメや映画を一緒に見たり、それ以降の小学生時代はのんびりでしたね」
一度、みのりはスーパーヒーローもののアニメの偽物を、間違えて借りてきてしまった時があった。
本物だったら全米が絶賛するほどの出来だったのだろうが、みのりが借りてきてしまった偽物はひどい出来だった。
やっすいCGにダラダラと歩き続けるシーンの繰り返し。
つまんないし、みのりは失敗したなぁと思いながら眠りかけていた。
タツヤもみのりの隣で見ていたが、いつの間にか眠りこけていた。
「つまんないの借りてきちゃってごめんね」とみのりが謝った時も、タツヤは目をこすりながらも笑っていた。
いつものようにヘラヘラと。
「いいよ。みのりちゃんと居るの楽しいし」と、回らない口で言っていた。
小学生時代の失敗を秋に語っている間に、料理が運ばれてきた。
ラザニアとマルゲリータが想像以上に大きい。
美味しそうだからいいけど。
食べきれるかなぁ、なんて不安に思いながらもみのりはピザを切り分け始める。
秋も運ばれてきた自分の分のパッパルデッレを食べ始める。