私の愛しいポリアンナ
「私はそのテレビを見て怖いなぁって勝手に思ったんですよ。中学卒業してから、ずっと修行してたのに、20歳になったら中卒で社会に放り出されるのが」
「そうか?」
「だって社会って学歴を見るじゃないですか。20歳で、最終学歴は中学校。私だったら、どうやって生きていけばいいんだって途方に暮れちゃう気がして」
「まぁ、そうなのかもな」
私がそんなことを考えながらテレビを見ていた時、やっぱりタツヤはいつものヘラヘラした顔をしていた。
なんだか眠そうな目で画面を見つめるタツヤ。
「中卒で社会に出ろって言われても、困っちゃうよね」と私が言っても、なんだかわからないような顔をしていた。
私の顔を少しの間見つめたタツヤ。
「なんとかなるんじゃないの?」とフニャッと笑って言った。
秋は私の話を聞きながら、何度か頷いた。
そして、確信を持った口調で言う。
「あんたは考えすぎで、タツヤは考えなさすぎだな」
「私、考えすぎですか?」
「おう。あんたとタツヤ、足して2で割ればちょうどいいかもな。あれだろ、正反対に惹かれるってやつ」
正反対。
私と、タツヤが正反対かぁ。
アサリを食べながら、みのりは考える。
人間は遺伝子が遠い人に恋しやすいと聞く。
性格が正反対な人に惹かれるのも、そのひとつだろうか。
「・・・でもタツヤは私に惹かれてくれないんですよ」
「タツヤは同族が好きなんだろ」
あんたは違う種族が好きみたいだけど。
なんてことないようにそう言って、秋はワインをもう一本頼む。
どんだけ飲むんだこの人。