私の愛しいポリアンナ




秋の身なりからして、女性の酒にクスリを混ぜるような外道と思われることはほぼないだろう。

甘めの顔のくせに何故かポールスチュアートが似合う秋。
そして左手につけている500万。
みのりは秋に会って初めてパテックフィリップを目にした。
彼の腕時計を目にした時「うわぁ、本物のパテックフィリップだぁ」と思わず見入っていた。

そんな、金にも女にも困らなそうな美青年。
設楽秋がクスリを入れたなどとう思われたはずがない。

どちらかというと、私が秋のグラスにクスリを入れようとして自滅したと思われただろう。
みのりはそんなことを考えた。


「で、なんだ、タツヤだタツヤ。続きは?」

「話のフリが雑ですよ」

「片思いだよな、あんたの。タツヤに好きだって伝えてないの?」

「知ってますから。あぁ、私、小籠包が食べたいです」

「自分で頼めよ」


イライラしてるのか、秋の口調は投げやりだ。
みのりに話を振ってはいるが、聞く気があるとも思えない態度。

みのりもみのりで触れられたくない部分だったのでさらりと話を変えた。







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