私の愛しいポリアンナ






「中学二年生の頃に、タツヤの唯一の保護者だったおばあちゃんがおかしくなっちゃったんです」

「認知症?」

「そうかもしれないです。とにかく、徘徊がひどくて。全然家に帰ってこなくて、タツヤは学校休んででも探し回ってて」


警察にもなんども世話になっていた。
みのりも当時はタツヤと自転車であちこち走り回った。

おばあちゃんはいろんな場所で見つかった。
歩道橋の下。
公園の滑り台の下。
リサイクルショップの裏手の駐車場。

見つかったおばあちゃんは、タツヤのことも認識していない様子だった。
ただ、ぼんやりとしていた。

タツヤは「ばあちゃん、歩くの好きだよなぁ」なんて困ってるんだか困ってないんだかわからない表情でそう言うだけ。

本当は、おばあちゃんは病院で診てもらうのが一番だったのだろう。
けれどタツヤの一家は健康保険にも入ってなくて、そんなお金がなかったらしい。

ふらふらとどこかへ行ってしまうおばあちゃんを、探し回る日々。
みのりとタツヤの中学時代は、そんな日々だった。

そして、みのりがタツヤに拒絶されたのも、その時期。


「タツヤが初めて彼女を作ったのも、ちょうどその頃でした。おばあちゃんが徘徊し始めた頃」

「その時、あんたすでにタツヤのこと好きだったの?」


秋の問いには答えなかった。
タツヤの一人目の彼女。
今でも覚えてる。

一個下の学年、ふっくらした子だった。
体育祭で転んでる場面を見て、「かわいい」とのタツヤの一言は衝撃的だった。







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