私の愛しいポリアンナ
いけない。
会社ではホワホワのタツヤ好みの女子なのに。
みのりはすぐにスイッチを切り替え、いつものようにホニャッと笑う。
「マオちゃんありがと」
いつも通りのみのりの様子に安心したのか、マオちゃんも笑い返してくれた。
「みのりがため息なんて珍しいね」
「最近ちょっと大変で」
「もしかして、設楽さん関係?」
マオちゃんが眉をひそめて問いかける。
設楽秋のこともそうだが、どちらかというとタツヤの方が今のみのりを大いに悩ませている。
しかしタツヤのことをマオちゃんに言うわけにもいかない。
曖昧に笑うみのりに何かを悟ったのか、マオちゃんがガッと勢いよく肩を掴んできた。
「みのり!しつこい男にはハッキリ言わなきゃだめだよ!じゃなきゃわからないんだから!」
「いや、しつこいってわけじゃ・・・」
「私が無理やり連絡先交換させておいてこんなこと言うのもなんだけど、ストーカーは犯罪なんだよ!」
「いや、マオちゃん、本当に違うから」
いつの間にかマオちゃんの中で設楽秋がストーカーに仕立て上げられていた。
とんでもない風評被害だ。
かわいそうな設楽秋。
ただ、目の前でふんふんと興奮しているマオちゃんは面白かったので誤解は解かないでおいた。
というか、設楽秋じゃないならため息の理由は何なのだと問われるのがめんどくさかった。
ごめんねマオちゃん。
心の中で謝って、みのりはその場を乗り切った。