私の愛しいポリアンナ
いろいろと手を貸してやってるのだから、少しは感謝してほしい。
ギラギラ光る繁華街の明かりを見ながら、みのりはため息をついた。
「どこ行きます?風俗店だったら結構いいのが揃ってますよ」
「あんた女だろ。少しは躊躇しろ」
眉をひそめられ、同時に繋いだ手を力強く握り締められる。
地味に痛い。
抗議の意を込めて爪を立てれば、「おい」と不機嫌そうな声を出される。
「いいよ、店は。ぼったくられるのがオチだろ」
「いえ。私がタツヤの友人なので、そこまでひどい金額は提示されないと思いますよ」
みのりはもう鹿川に何十回と訪れている。
タツヤの友人ということは広く知れ渡っているはずだ。
そんなみのりが連れてきた秋に、変な商売をする輩はいないだろう。
みのりと秋が手をつないで繁華街に入れば、それだけで二人の関係を周知させるには十分だ。
「一個ぐらい、面白い店に行ってみたらどうです?せっかくだし。『ペット』とか人気らしいですよ」
「何だよその店」
「かわいい女の子のペットになれる店です。首輪つけられてナデナデしてもらえるらしいですよ。心が満たされるって口コミで言ってました」
「俺に変な性癖を加えようとするな。というか、あんたの恋人って設定なんだから風俗店には入らないほうがいいだろ」
「あぁ、そっか」