私の愛しいポリアンナ






「だいたいミヨのあの言い方!人のこと省エネなんて言ってる暇あったら自分の仕事チェックしなよって感じ!あの子のミス、毎回わたしがフォローしてるんだよ!」


なのにありがとうの一言も言わないしさ!とマオちゃんはプリプリ怒ってる。
それはひどいねぇ、なんて返す。


「ミヨちゃんに言っておくね」


社会人としてお礼はしっかり言えるようにならなくては。

ヘラッと笑いながらみのりがそう言うと、マオちゃんがピタリと足を止めた。
勢い余ってみのりはマオちゃんの背中にぶつかる。

ごめん、と言う前にマオちゃんが振り向いてきた。
その顔はなんだか不機嫌で。
ジトッとした目で私を見つめていた。


「何?」

「みのりのホワホワしてるとこ、悪いとは言わないけど、もっとシャキっとしたほうがいいよ」

「シャキっと、」

「そう!ホワホワしてるからミヨに舐められるんだよ」


フン!と荒い息でまたマオちゃんは歩き始める。
みのりも少し力なく後に続く。

ホワホワしてるかぁ。
よく言われるけど、それが舐められる原因なのか。
ふぅん、あぁ、そう。

しっかり、シャッキっと生きるってどんな感じかな、と考えてみる。
たくさん仕事すること。
いろんなことに挑戦すること。
毎日のように予定が入る賑やかな生活。

みのりにとってそんな生活は、シャキっとしているというよりは、急いで生きているように見えるのだ。
何かに囲まれて、誰かと関わってなきゃ落ち着かないような生活。
まぁ、私は少しは急いで生きたほうがいいのかもしれないけど。








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