私の愛しいポリアンナ
うまく受け入れられなかったから今でもタツヤへ執着しているのかもしれない。
自分がなぜこんなにタツヤを気にかけるのか。
恋心なのか、執着なのか。
わからないなぁ、とみのりは思う。
海はただ静かに波を運ぶだけ。
秋はアドバイスもくれない。
自分のことは自分で考えるしかないか。
伸びをしながら、みのりの気持ちは少し晴れていた。
「あんたのタツヤへの気持ちは、よくわからないな」
「私も分かりません」
「タツヤと結婚したいとか、思うのか?」
秋の言葉に、みのりは目を瞬かせる。
結婚したいとかしたくないとか、そんなことは考えたことはなかった。
というか、タツヤが結婚する、ということすら考えたことはなかった。
女関係にだらしないタツヤだったけれど、だからこそ、誰か一人の女性に愛を捧げるタツヤが想像できなかった。
どちらかというと、タツヤは刹那的に愛する方だと思っていた。
その時その時で気に入った女性と一緒にいて、いつかどこかで、ぱったり亡くなる。
そんな彼を見守っていたいとか、心配だなぁとかは思うが。
結婚して私のものにしたい、とはみのりは考えたこともなかった。