私の愛しいポリアンナ
「ここよ、ここ!」
マオちゃんがそう言ってみのりを連れてきたのは、いわゆる会員制のバー。
紹介がなければ入れない、敷居の高そうなところ。
街を一望できる・・・何階建てのビルだろう。
みのりは途中で数えるのをやめた。
「いい!?ここに来るのはいろんな会社の社長だったり経営者だったり、とにかく物理的にも精神的にもパワーを持ってる人たちだから!」
「う、うん」
「ここでたくさん人の話を聞くこと!仕事のことだけじゃなくて、考え方とか、好きなこととか。みのりはもっと色々と見識を広めるべき!」
「はいっ!」
「よし、じゃあ行こうか」
そう言うとマオちゃんは会員カードを見せて堂々と中へ入っていく。
ちなみに何故マオちゃんがここの会員なのかというと、彼女の実家がそこそこお金持ちだからだろう。
マオちゃんは和歌山の大家の出身で、そこの次女だ。
コンニャク農家をやっているらしく、日本でのシェアの大部分を占めているらしい。
その筋の業界では有名なお家だそうだ。
家業自体はマオちゃんのお兄さんが継ぐとのこと。
つまりマオちゃんはコンニャク社長令嬢。
なんか締まらないなぁ。
コンニャクが悪いわけではないけど。
ちなみに最近のダイエットブームでコンニャクの売り上げは順調に伸びているらしい。