私の愛しいポリアンナ






と、いうことがあったんですよ、とみのりは割り箸を割りながら秋に言った。
割り箸は綺麗には割れなかったが、不格好でも使えるからいいだろう。

ハフハフと目の前のラーメンに集中する。
普段は塩や醤油などのシンプルな味付けが好みだが、たまにはこってりしたとんこつもいいかもしれない。
そんなことを思いながらチャーシューを口に含む。
まったりとした油が美味しい。

勢いよくラーメンを腹に納めるみのりを見て、秋はいささか引いていた。


「早く食べないと伸びますよ」

「前から思ってたけど、あんた食いっぷりいいよな」


どこかゲッソリした顔でそう言ってから、ようやく秋も箸を動かし始める。


「食べなきゃやっていけないですよ。マオちゃんには距離置かれるし、タツヤはこれからどうなるかわからないし。私にとって食事はストレス発散です」

「あぁ、そう・・・」


みのりがむすっとした顔を作れば、秋の目は遠くなる。





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