私の愛しいポリアンナ

「もうお気づきでしょうが、私、食べるの好きなんですよね。幸せになるんですよ、タツヤが」

「タツヤが」

「美味しいものあげるとタツヤはいっつもニコニコ食べてたんですよ」

「あぁ、そう。で、あんたも幸せと」

「そうです。私は別にお腹が膨れればいいって感じだったんですけど、タツヤが美味しそうに食べてるとそれにつられて」


フーフー冷ましてからネギを食べる。
ラーメンにネギが山盛りに入っているとテンションが上がるのは私だけだろうか。

秋もスローペースでとんこつラーメンを食べていく。

ピンとした背筋。
綺麗な箸の持ち方。
食べる仕草からも、彼がいいところの育ちだというのはひしひしと感じられる。


「タツヤは施設に入れられるぜ」

「施設」

「鹿川はヤク中の溜まり場だろ。だから、矯正施設に全員放り込もうって話でまとまってる」


水をぐいっと飲みながら秋が言う。
彼が頑なにみのりを見ようとしないのは、勘違いではないだろう。
目を合わせようとしないのは、やましいことがあるからか。

みのりはじっと秋の顔を見て考える。
秋がみのりと目を合わせようとしない理由はなんとなく想像つく。