私の愛しいポリアンナ
逆光の中、一人の少女を抱えている。
彼は、秋が声をかける前にこちらに気づいた。
「あー、えっと、みのりちゃんの彼氏さん!」
間抜けな声が、その場に響いた。
くしゃくしゃの髪。
溶けた歯。
とろんとした、焦点の合わない目。
タツヤが、セーラー服を着た少女を抱えてそこに立っていた。
少女はぐったりしている。
秋は少女のほっそりした足に寒気がした。
「その子は?」
「ん?ジュンナちゃん」
「タツヤさんの彼女ですか?」
「わかんない」
ゆらゆらとタツヤの体が揺れる。
秋は何と言えばいいのか迷った。
彼が抱えている少女がタツヤの彼女だと言われればまだ納得した。
青少年保護法とか淫行条例などの問題が頭の中を駆け回ったが、まだ納得した。
けれど、タツヤとそのジュンナちゃんとやらは付き合っていない。
じゃあ、ただ行き倒れていた少女を助けたのか?
彼が?