私の愛しいポリアンナ





「タツヤと何があったんですか?」

「殴った」

「は?」

「どうしようもないクズだと思ったから、俺がタツヤを殴った」


堂々と、むしろ「やってやった」とばかりに秋は宣った。
そんな偉そうに暴力行為を自慢されても。

みのりは一瞬、秋の自信ありげな態度に押されかけたが、慌てて持ち直す。


「なんてことしてるんですか!タツヤを殴るなんて!」

「口で言ってもわからないだろう、あんなポリアンナクズ太郎」

「タツヤに変な呼び名つけないで!」


本当に、なんてことをしてくれたのか。
落ち着いた様子の秋に対し、みのりは軽くパニックを起こしそうだった。

タツヤを殴るなんて。
彼は小学校の頃、親に虐待されていたのに。
なんでその傷を抉るようなことをするのだ。

パクパクと口を動かし、驚愕の表情で何も言えないみのりに対して、秋はいっそバカにしたような目で見てきた。





< 84 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop