私の愛しいポリアンナ
「タツヤのことは、通報したよ。最近の鹿川には24時間警察がいるから、すぐに捕まった。まぁ、抵抗もしてなかったけどな」
「そうですか」
注文を終えたと同時に、秋が話し始めた。
みのりは、タツヤの話は聞きたくなかった。
今はまだ。
けれど、聞かなかったら聞かなかったで、後から気になってしょうがなくなる気がした。
まだ暖かさが残っているおしぼりを触りながら、秋の言葉に耳を傾ける。
「あんたが怒ってくれないと言っていた」
「私が?」
「あぁ。アイツ、小学生かってくらい精神年齢低いのな。悪いことしてあんたの目を引いて。結局、ただ構ってほしいだけだ」
タツヤは、私に構ってほしかったのか。
みのりは夢心地で考えた。
もしかして、タツヤは知っていたのかも知れない。
私が路地で見ていたことを。
怒ってもらいたかったのか。
とんでもないダメ男だなぁ、と思うと同時に、「かわいいなぁ」とも思ってしまう。
私も大概、ダメ女だ。