私の愛しいポリアンナ
仕事が終わってなくても定時で帰る。
それが働き方改革。
みのりは残った仕事をそのままに、周りの目も気にせず片付け始めた。
どこからか睨まれている視線も感じるが、構うものか。
今の私には仕事よりも大事なことがあるのだ。
というか、仕事を人生で一番大事にしている人はこの地球に何人くらいいるのだろう。
人の命を預かる仕事か。
はたまた職人か。
はたまた、世界のどこかで今も戦っている戦場の兵士だろうか。
パパッとバッグに荷物をまとめ、みのりは早足に職場を後にする。
向かうは鹿川だ。
タツヤが逮捕されたことしか秋からは聞いてない。
知りたいのは「今、タツヤはどこにいるのか」だ。
鹿川に行けば、タツヤが連行された先を知っている人もいるだろう。
タツヤに会って、それから。
何を言おうか、少し考えたがまとまらず、みのりは足を速めた。
とにかく、会おう。
これからのことは会ってから考えればいい。
地下鉄を乗り継ぎ、家への最短ルートを通る。
家に着いたら駐車場に直行し、そのまま車に乗り込んだ。
まだ夕方と言っていい時間帯だったので、道の人通りは多いだろう。
スピードは出せないだろうができるだけ急ぐことにする。
みのりは険しい顔で鹿川までの道を走り抜けた。
しかし、鹿川でみのりを待っていたのは、厳しい顔をした警官だった。