初恋のクローバー
「……っ、やばいなぁ」
もう半年も経つのに、あの日のことを思い出すだけで目頭が熱くなる。
仲間の優しさをまっすぐに受け止められたことが、とても嬉しく感じられた。
私がもう、焦っていたあの時の自分とは違うということを感じることができた。
「いいチームメイトを持ったな、私。……あー、だめだめ。試合前なのに感傷に浸ってる場合じゃない」
こみ上げてきそうになる気持ちをなんとか抑えていれば、別のことが頭の中をよぎった。
「………半年、経ったんだ」
長く感じる月日の中でも、会っていないことが嘘のように彼のことを思い出せる。
「私、ここまで来たよ」
すぐ目の前には、インターハイへの出場権をかけた大会。
「和哉くん……」
彼のことを想ってその名前を口にしても、遠くにいる彼には届くはずもない。
それでもこの半年、気づけば彼の名前を呼んでいる自分がいた。
「…手紙、読んでくれたのかな」
彼に最後に会ったあの日、女の子から貰った便箋に私の心を書いた。
そして持っていたあのお守りを、彼のそばにいてくれるようにと思って封筒に入れた。
ドアの前に置いておいただけだから、もしかしたら誰かに捨てられてしまったかもしれない。
それでも、彼が読んでいてくれたらと願ってきた。
少しでも私の心を彼に知って欲しかった。