初恋のクローバー
思えば、初恋だったかもしれない。
初めて会った彼女の走りに魅せられて、同時に憧れた。
彼女の走る姿は、俺の心に焼き付いた。
彼女がいたから、俺は走る意味を思い出せた。
彼女がいたから、俺はまた走ろうと思えた。
彼女の走りが、彼女の存在が、俺の支えになってくれた。
のちに俺が全国に出るほどまでに成長することができたのは、彼女がいたからだ。
彼女に出会えたから、これから先の俺がある。
名前も、顔でさえうろ覚えな彼女を、俺は想い続けた。
また、彼女に会いたい。
会って、お礼を言いたい。
会って、彼女の走りが見たい。
会って、話をしてみたい。
会って、彼女の笑顔を見てみたい。
いつか彼女に会って、この想いを伝えたい。
『On Your Marks…』
高2のインターハイ決勝。
このあとに待つ2度目の出会いを祈り続けて、
俺は今日も走り出す。
END