初恋のクローバー
そして、その時がきた。
『On Your Marks…』
スターターピストルの大きな音が辺りに響き渡れば、レーンに構えていた彼らが一斉に走り出す。
「「遅れた」」
私とヒロの声が重なった。
視線の先の彼は、緊張のせいか走り出しが遅れてしまったようだ。
彼以外の走者は、大会慣れしているような人たちばかり。
必死に食らいついていくも、遅れてしまった彼は集団の最後尾に位置している。
800メートルは、トラックを2周してゴール。
彼は最後尾のまま2周目に突入した。
「期待はずれだったか」
途中で肩を落としたヒロとは対照的に、私は彼を目で追い続ける。
そして、ゴールは近づいてきた。
彼の頑張りも虚しく、結果は最終位の8位。
彼の今夏の成績は、インターハイ ベスト8で終了した。