初恋のクローバー
「……ふ……へへっ」
「風結、キモいよ」
「風結ちゃん、気持ち悪いよぉ~」
「なっ!2人とも、大事な友達になんてこと言うのっ!」
衣替えも終わって、少しずつ肌寒さが目立つようになってきている今日この頃。
机に肘をついて隠しきれない笑みをこぼしていると、前に座っていたリカとミヨが辛辣な一言を放った。
「だって本当のことだし」
「最近ずっと頬が緩みきってるねぇ~」
「ふふっ、だって嬉しいんだもんっ。
和哉くんが私の彼氏……へへっ」
和哉くんと想いが通じ合ったあの日から早くも1週間。
約700キロの距離を簡単に移動することは金銭面などの色々で難しい私たちは、相変わらず電話でのやり取りをメインにお互いのことを知っていっていた。
「……あいつ、隣のクラスでよかったね」
「ずっと好きだった幼なじみのノロケなんて聞いても、悲しくなるだけだもんねぇ~…」
「?どうしたの、2人とも」
「「なんでもない(よぉ~)」」
「そーぉ?ならいいけど」
この時2人が心の中で『ドンマイ』と誰かに向けて呟いていたのを、私はもちろん知ることはない。