初恋のクローバー


「それにしても風結。いつも思ってたんだけど、風結たちはなんで電話のやり取りしかしないの?」


「へ?」


「それ、私も思ってたぁ~。今の時代はもっと便利な連絡の取り方がいっぱいあるよぉ~?」


「あー、うん……」


私は疑問を顔に出してこっちを見つめる2人に、少し考えてからクスッと笑った。


「電話でいいの。文字だけのやり取りも確かに便利だけど、私は和哉くんの声が聞きたい。

それに、電話だと和哉くんの気持ちに触れられる気がするの。その日の調子とか、考えてることとか……声を聞くとなんとなくわかってくるんだ。

多分向こうも、同じように思ってくれてると思う。私も和哉くんにありのままの私を知ってもらいたい……だから私たちは、電話でいいの」


「「…………」」


「あ、ごめんっ!なんか色々話しすぎた!」


なんともいえない顔で口を閉ざした2人に慌てて謝れば、2人は互いに顔を見合わせたあとに小さく微笑む。


「いいね、それ」


「うんうんっ。なんか心が通じ合ってる感じがするぅ~」


「えっ、そ、そうかな?」


恥ずかしさと嬉しさから頬をかいているとその時、教室のドアが開いて担任が顔を見せた。


「ホームルーム始めるぞー。席つけー」

< 60 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop