初恋のクローバー


「あはは、それは災難だったね」


いつもと同じ夜の時間。


電話越しに聞こえる彼の笑い声に、くすぐったい気持ちが溢れてくる。


「確かにうちのクラスは頭いい人あんまりいないけど、リカとミヨは学年でもかなり成績優秀なんだよー」


「そうなんだ。風結はどうなの?」


「うっ……ま、まぁ、私はこの間まで部活に全力を注いでたから、勉強面が弱いのは仕方ないっていうか!ねっ?」


「つまり今度のテストは頑張らないとまずいってことだね?」


「うぐ………はい…」


「あはは、素直でよろしい。風結が頑張れるように、今度は俺が風結を応援するよ。……だから頑張って」


「っ、」


あぁ、もう……会いたいよ………。


少女漫画のヒロインも、みんなこんな思いをしてるのかな。


「和哉くん……」


付き合う前よりもずっと、会いたい気持ちが強くなる。


加速していく自分の想いに、1週間の時が経ってもおいつけない。


私の中にこんな感情が溢れてくるなんて、今までの私だったらきっと信じられなかった。


和哉くんに恋をして、生まれた気持ち。


全然落ち着かなくて、でもそれでいて、とても心地がいい。

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