初恋のクローバー
「とにかくっ、和哉くんに会いに行くためにも頑張るね!あ、でも……いい点って具体的にどれくらい?」
「うーん……全体順位で50位以内をとれるくらいとか?」
「ご、50位っ!?全体の半分ですら危ういのに!?」
今までの自分からはありえない順位を言いつけられて、私は驚愕をそのまま口にする。
「じゃあ、全体順位80位以内にしようか」
「うっ……ううん、いい!私、50位以内を取るよ!頑張るって言ったんだから、それくらいはしないと!」
あと2週間しかないけど、今から勉強すれば大丈夫なはず!……と思うんだけど、私にできるのかなぁ……。
私の心の声に気づいたのか、電話の向こうでクスクスと彼の笑い声が聞こえてくる。
「風結にならきっとできるよ。俺もテストに向けて勉強するから、わからないところがあったら遠慮なく聞いてね」
「うんっ、ありがと!」
へへっ、和哉くんに「できる」って言われたら本当にできそうな気がしてきた!
「和哉くんもっ。勉強は多分無理だけど、困ったこととか、なにかあったらなんでも言ってね!」
「あはは、うん。ありがと…っ、」
「?和哉くん?」
「あ、ううん……なんでもないよ。頑張ろうね」
「うんっ!」
この時の彼の違和感に私は気づくこともないまま、やるぞと心の中で意気込むのだった。