初恋のクローバー


゙プルルルル…プルルルル…゙


呼び出し音が、長く聞こえる。


出て………。


さっきとは反対に募っていく不安を振り払うように、電話の音にだけ耳を傾ける。


゙ガチャ゙


「あっ、和哉くん……っ」


「おかけになった電話番号は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないためかかりません……」


「………………」


何度目かの電話は、もう聞き飽きたその言葉しか届かせない。


「風結……」


「風結ちゃん……」


力なくスマホを机に置いた私を、2人が心配そうな顔で見つめてくる。


「……来週、遊ぶ約束してたよね?」


「えっ…?うん、してたけど」


「土曜限定のパンケーキを食べに行くんだよねぇ~」


「早く行きたい……」


「「え?」」


ボソッと呟いた声は、2人に届かなくて。


「リカ、ミヨ、ごめん。その予定キャンセルして私に協力してほしい!」


私は俯かせていた顔を勢いよく上げて、スマホをぎゅっと握りしめた。

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