初恋のクローバー
「ここが、和哉くんの学校……」
見たことのない景色が広がる中、私は1人校門の前で足を止める。
今日は土曜日。
前に電話で毎週土曜日は部活をしてるって聞いたから、絶対にいるはず……。
「…………」
会ったら、なんて声をかければいいんだろう。
「電話が繋がらないから心配で来ちゃった!……とか」
でも、なんで電話が繋がらないのかな。
「私のことが嫌になっちゃったからとかだったら、つらいなぁ……はは」
冗談まじりに呟いてみるけど、内心では穏やかじゃない気持ちがせめぎ合う。
「夜行バスまで使ってここまで来たくせに、今さら怖気付かないでよ、私……」
部活をやっていた頃に使い道がなくて貯まっていたお年玉は、合わせてみると割と多くて。
持てるだけのお金を持って、私は青森に足を運んでいた。
「ふぅ……」
気持ちを落ち着けて1歩を踏み出そうとしたその時、ポケットに入れていたスマホが誰かからの着信を伝えた。
「あ、リカ……」