初恋のクローバー
彼女のそんな顔を見ていたくなくて冗談まじりに言葉を紡いだら、彼女はさらに顔を歪めてしまった。
そして俺も、つい本音をもらしてしまった。
彼女は、俺にはまだ先があると言った。
俺には未来があると言った。
可能性が少なくても、それを理由に今できることを諦めるのは違うと言った。
確かにそうかもしれない。
その数パーセントを目指すべきなのかもしれない。
でも今の俺には、それをする勇気がなかった。
今、走りたい。
今、自分で走りたい。
でもそのためには、覚悟が必要だった。
先の見えない未来のために、自分の全てをかけなければいけなかった。
頑張って、頑張って、頑張っても、
それが報われるかは、わからない。
報われなかった時に、自分がどうなってしまうのかわからない。
先が見えない未来が、怖い。
そう思ったら、全てをかける意味がわからなくなった。
思わず口にしたその言葉を、風結が理解したのかはわからない。
けれど彼女に笑って見せた時、彼女はただ泣きながら首を振った。
その姿が作られた俺の笑顔の奥を見ているようで、俺は押し込めたはずの苦しい気持ちを隠すことができなくなった。