初恋のクローバー
「なに?これ」
「ドアの前に置いてあった。名前を見る限り、お前あてだろ」
「名前……」
封筒の表側を見れば、確かにボールペンで俺の名前が書かれている。
「でも、誰の字だろう……」
「まぁ、俺は大体わかるけどな」
「えっ!?なんで!?」
「わかんないお前が鈍感すぎなんだろ。じゃ、またな」
「え……ちょっ、ガク!?」
エスパー並の洞察力を兼ね備えているのであろうガクはそれだけ言うと、ポカンとする俺を残して病室から出て行ってしまった。
「えぇ……ど、どうしよう…」
ガクがわかるってことは、ガクと面識がある人ってことかな?
とりあえず差出人を確認しようと、持っていた封筒を裏返す。
「あ、名前…………、え?」
手紙の差出人は、さっきまでここにいた風結からのものだった。
「なんで風結が……」
もしかして、別れたいとか?
せっかくここまで来てくれたのに帰ってとか言っちゃったし、嫌われたのかな。
「って、ダメダメ。また悪い方ばかりに考えてる……でも、さっきのことがあってすぐだし」
これは本当に、そういう話かな……。
見たくない……でも、せっかく書いてくれたのに見ないのはダメだよな……。
「……ふぅ」
俺は1度深呼吸してから、可愛らしい封筒の中から同じ柄の便箋を出した。