包み愛~あなたの胸で眠らせて~
昼休み、高橋さんと社内食堂へ向かうべくエレベーターの前に立つ。のぼってくる階数表示を眺めていると、高橋さんが誰かに呼ばれた。

慌てた感じの声に私も高橋さんと同時に振り向く。高橋さんが仲良くしている同期の人が息を切らせて、高橋さんの肩に手を置く。


「良かったー、まだいて。さっきメッセージ送ったけど、見ていないようだから急いで来ちゃった。お昼、一緒に食べれない? 相談があって」

「別に構わないけど。えっと、片瀬さん……」

「私は大丈夫です。どうぞ、行ってきてください」

「ありがとう」


二基あるエレベーターのうちの一基がちょうど降りてきて、二人は乗った。外で食べるようだ。

私は数秒後にきたエレベーターで上に行く。

1人で食べることに抵抗はないけど、星野さんや小池さんがいたら交ぜてもらおうかな。

トレイの上に料理を乗せてから、ぐるりと食堂を見渡したが、二人の姿は見えない。今日はここで食べないのかも。

奥の二人用テーブルに座って中華スープを飲む。その時、目の前に人影が出来た。誰だろうと顔をあげると、広海くんがいた。

彼は私の前に、料理の乗ったトレイを置いた。
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