包み愛~あなたの胸で眠らせて~
「確かに多いけど、ありがとう。賞味期限長いから、楽しみながらゆっくり食べるよ。とりあえず、どれか食べよう。紗世、食べたいのある?」

「うん、この抹茶味のが気になっていて」

「じゃあ、それとこのビターのにしよう。これ食べてみたかったんだ」


広海くんが選んだのはカカオを含有量が多いビターチョコレートでひと口サイズのものだ。どのくらいビターなのか私も気になっていて、食べてみたかった物の一つだ。

広海くんが箱を開けて、差し出してくれたので一つをつまんだ。ほぼ同時に口へ入れる。


「あ、確かに苦みがあるけど、美味しい」

「うん、美味しいね。大人の味がする」

「そういえば、広海くんはアイスもチョコのが好きだったよね」

「うん。紗世はいつもバニラを選んでいたよね」


遠くに置き忘れていた記憶がチョコの味で思い出される。ちょうど今くらいの季節から涼しくなるまでよくコンビニにアイスを二人で買いに行った。
< 113 / 211 >

この作品をシェア

pagetop