包み愛~あなたの胸で眠らせて~
その女性は退職して実家に行く前、広海くんの家を訪ねてきたそうだ。
平日の昼間だったから、家にはお母さんしかいなかった。
近くの友だちの家に挨拶に来て、ついでだからとお世話になった挨拶にとお菓子を持ってきたと言われて、直観的に感じたらしい。
「大変お世話になりましたとお伝えください」とただそれだけ言って帰っていく女性を見て、同僚とひと言で片づけられる関係ではないと。
その日、学校から帰宅した広海くんはテーブルに置いてあったお菓子の箱を開けていいかと聞いたら「触らないで!」と怖い顔で言われて、素直に従った。
身に覚えはないが、何か怒らせるようなことをしたのかとも思ったそうだ。
「夜、父さんが帰ってからの母さんはもっと怖かった。俺と兄さんは黙って見ていたけど、問い詰められた父さんは土下座して繰り返し謝っていた。悪かった、ごめんささい、二度と会わないし、二度としないから許してくれと。だけど、母さんは絶対に許さない、別れると言った。その時は何が原因でそんなことになったのか分からなかったけど、とにかく父さんが母さんを裏切ったとだけ思った」
「うん」
平日の昼間だったから、家にはお母さんしかいなかった。
近くの友だちの家に挨拶に来て、ついでだからとお世話になった挨拶にとお菓子を持ってきたと言われて、直観的に感じたらしい。
「大変お世話になりましたとお伝えください」とただそれだけ言って帰っていく女性を見て、同僚とひと言で片づけられる関係ではないと。
その日、学校から帰宅した広海くんはテーブルに置いてあったお菓子の箱を開けていいかと聞いたら「触らないで!」と怖い顔で言われて、素直に従った。
身に覚えはないが、何か怒らせるようなことをしたのかとも思ったそうだ。
「夜、父さんが帰ってからの母さんはもっと怖かった。俺と兄さんは黙って見ていたけど、問い詰められた父さんは土下座して繰り返し謝っていた。悪かった、ごめんささい、二度と会わないし、二度としないから許してくれと。だけど、母さんは絶対に許さない、別れると言った。その時は何が原因でそんなことになったのか分からなかったけど、とにかく父さんが母さんを裏切ったとだけ思った」
「うん」