包み愛~あなたの胸で眠らせて~
今まで誰にも話せなかったことを吐き出した広海くんは、スッキリしたのか柔らかい笑顔を見せた。

でも、その笑顔を素直に受け止めてはいけないように感じた。一人が気楽でいいというのが本心ではないと思うから。


「誰かと暮らしたいとは思わなかった?」

「誰かって?」

「例えば友だちとシェアして住むとか、恋人と暮らすとか」

「ああ、そういうのか。んー、シェアするのは考えたことなかったし、同棲もない。俺、結婚は一生出来ないと思っているから」

「どうして一生と言い切っちゃうの?」


まだ私たちは26歳でこれから先の人生はまだまだ長い。だから、一生と決めてしまうのは早いのではないか。

広海くんが今の時点で結婚しないと言うのは、親の離婚が関係している?

結婚しても別れるかもしれない、結婚したからと必ずしも幸せになれるものじゃないと思っているのかな?

誰にも先のことは分からない。だけど、諦めてしまうのは悲しいように思う。


「誰かを好きになったことがないんだ。好きになるのが怖くて」

「好きになるのが怖い?」
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