包み愛~あなたの胸で眠らせて~
「なにか分からないことや困ったことがあったらいつでも聞いてください」

「ありがとうございます」

「あの、1つ、お二人に質問していいですか?」


メモ帳を閉じた星野さんが短く右手をあげる。

「はい、どうぞ」と小池さんが返すと、星野さんは私と小池さんを交互に見てから「大変失礼ですが」と前置きをしてから尋ねてきた。


「お二人はおいくつですか? あ、私は23なんですけど」

「私は29才」

「私は26才です」


小池さんが答えたのに続いて私も答える。確かに年齢は気になるところだけど、私は人の年齢を自分から聞いたことはほとんどない。

特に自分よりも上だと感じる人には聞きにくいと思うけど、星野さんは気になることは何でも聞く人みたいだ。小池さんの説明にも何度か質問していた。


「いい感じに三才ずつ離れていますね」

「何がどういい感じなのよ」


星野さんの言葉に小池さんが突っ込んで苦笑する。年齢が下の人からしたらいい感じでも、上の人からしたらいい感じではないだろう。

真ん中という微妙な位置の私はどう加わったらいいか分からず、何も言わないでいた。


「小池さん、悪いんだけど、会議室のセッティングを手伝ってもらえる?」

「はい、分かりました」
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