包み愛~あなたの胸で眠らせて~
「おかえりなさい」

「ただいま。こんなふうに出迎えてもらうのかなり久しぶりだな。人がいる家に帰るのもいいものだね」

「そう? ねえ、早く食べようよ!」


嬉しそうに微笑む広海くんの腕を引っ張った。ちょうど出来上がったところだから、玄関でしみじみしていないで早く温かいうちに食べてもらいたい。

広海くんはどれも美味しいけど、炒飯が一番美味しいと言う。湊人が作ったと話すと驚きながらも感心していた。

私は湊人に負けて、悔しかったけれど。


「ごちそうさま。洗い物は俺がするから紗世は座っていて」

「え、いいよ。私が洗うから。広海くんの方が遅くまで仕事していて、疲れているでしょ?」

「疲れているのはお互い様だと思うんだけど。じゃあ、二人でやる?」

「うん、うん! そうしよう。二人でやったら早く終わるし、早くゆっくり出来るよね」


二人で後片付けを済ませて、ソファに座る、広海くんはビールをコップに注いでくれた。アルコールが得意ではない私は一杯だけもらう。
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