包み愛~あなたの胸で眠らせて~
優しいキスが広海くんらしいけど、ちょっと物足りない。

「広海くん」

「ん?」

「もっとして」


私の要求にくすりと笑い、「了解」と返事をした。

緊張しているというのに、つい大胆なことを口にしてしまう。以前の私だったら、自分から求めなかった。嫌われるんじゃないかとわがままは言えなかった。

だけど、広海くんには言える。彼はどんな私でも受け入れてくれる。だから、私は隠すことなく自分を見せられた。

隠すことなくと言っても、恥ずかしくて隠したくなる部分はあるのだけれども、見せてしまうと今度は広海くんが欲しがる。

もう一度軽いキスをしたあと、私は抱きかかえられて寝室に運ばれた。初めて入る寝室をちゃんと見たかったのだけど、それは許されなく目の前にいる広海くんしか見られなかった。

たまに天井くらいは見れたけれども。

広海くんの黒くて澄んだ瞳に見つめられて、目を閉じるとキスが降ってきた。額や頬や瞼に軽くキスをして、最後は唇。ここでも軽いキスを二回し、三回目のキスは深くなった。

角度をゆっくり変えて、微かな隙間から熱い舌を滑り込ませる。私を求めるキスに応じるよう、彼の背中に腕を回した。
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