包み愛~あなたの胸で眠らせて~
「じゃ、紗世ちゃん。頑張ってね」
「ちょっと、何するのよ」
「あはは」
湊人は激励の言葉とともに私の髪をぐちゃぐちゃに撫でて、笑う。
弟のくせに私の背を抜いた時から、姉を子供扱いする。全く姉を何だと思っているのか。
楽しそうに手を振る湊人に私は小さく手をあげて、ホームへと向かう階段をのぼった。
ふと視線を感じて見上げると、既に階段をのぼり終えていた池永さんが私を見ていた。
何だろう?
彼の視線に心臓の動きが速くなるが、何か話したいことでもあるのかと近付く。
「一緒に住んでいるんですか?」
「はい? ああ、そうです」
何かと思えば、湊人のことか……池永さんはまだ何か言いたそうに口を開きかけたが、タイミング悪く電車がホームに入ってきたので何も言わなかった。
もしかして今こそ話せる時かと思ったけど、同じ車両に乗り込んだものの混雑していて、後から乗った人にどんどん押されて、会話できない距離となってしまった。
それでもなんとか彼の姿を目で捉えるが、彼は別の方向を見ていて私の視線には気付かない。時折、乱れている前髪が気になるのか手で直すように押さえていた。
「ちょっと、何するのよ」
「あはは」
湊人は激励の言葉とともに私の髪をぐちゃぐちゃに撫でて、笑う。
弟のくせに私の背を抜いた時から、姉を子供扱いする。全く姉を何だと思っているのか。
楽しそうに手を振る湊人に私は小さく手をあげて、ホームへと向かう階段をのぼった。
ふと視線を感じて見上げると、既に階段をのぼり終えていた池永さんが私を見ていた。
何だろう?
彼の視線に心臓の動きが速くなるが、何か話したいことでもあるのかと近付く。
「一緒に住んでいるんですか?」
「はい? ああ、そうです」
何かと思えば、湊人のことか……池永さんはまだ何か言いたそうに口を開きかけたが、タイミング悪く電車がホームに入ってきたので何も言わなかった。
もしかして今こそ話せる時かと思ったけど、同じ車両に乗り込んだものの混雑していて、後から乗った人にどんどん押されて、会話できない距離となってしまった。
それでもなんとか彼の姿を目で捉えるが、彼は別の方向を見ていて私の視線には気付かない。時折、乱れている前髪が気になるのか手で直すように押さえていた。