包み愛~あなたの胸で眠らせて~
自分もそうだけど、彼はもうすっかり大人だ。会いたいと思っていた広海くんの姿は子供のままで止まっていたから、大人になった彼を見るたびに戸惑う。
同じ人だとまだ確認はできてはいないが、ほぼ広海くんに間違いはないはず。
だけど、昔の広海くんと今の池永さんがなかなか結びつかない。違う人間に見えてしまう。
そんなふうに昔の彼と今の彼をぼんやりと比べていると、別の方向を見ていた彼がこちらを見た。
えっ?
あ!
いけない、降りないと。降りる駅に着いたことに気付くのが遅れた私は、人の間をかき分ける。
池永さんはドアの近くにいたので、早々と降りていた。ドアが閉まる音が鳴った。
急がないと!
「す、すみません。降ります」
「片瀬さん」
「あ、はい!」
あの少しというところで、池永さんの手が伸びてきた。その手を握ると引っ張られて、ギリギリ降りられた。
すぐにドアが閉まり、電車が走り出したのを見てホッとする。
「ありがとうございます。助かりました」
「うん、良かったです」
池永さんは繋がれた手を離して、先を歩く。
同じ人だとまだ確認はできてはいないが、ほぼ広海くんに間違いはないはず。
だけど、昔の広海くんと今の池永さんがなかなか結びつかない。違う人間に見えてしまう。
そんなふうに昔の彼と今の彼をぼんやりと比べていると、別の方向を見ていた彼がこちらを見た。
えっ?
あ!
いけない、降りないと。降りる駅に着いたことに気付くのが遅れた私は、人の間をかき分ける。
池永さんはドアの近くにいたので、早々と降りていた。ドアが閉まる音が鳴った。
急がないと!
「す、すみません。降ります」
「片瀬さん」
「あ、はい!」
あの少しというところで、池永さんの手が伸びてきた。その手を握ると引っ張られて、ギリギリ降りられた。
すぐにドアが閉まり、電車が走り出したのを見てホッとする。
「ありがとうございます。助かりました」
「うん、良かったです」
池永さんは繋がれた手を離して、先を歩く。