包み愛~あなたの胸で眠らせて~
酔っているせいなのか、珍しく砕けた口調だ。目も潤んでいる。

そういえば、今日の池永さんは珍しいことだらけだ。やっぱり普段と違う。


「ちょっと確認させてください。失礼します」


私は赤い顔している池永さんの額に手を当てた。彼は抵抗することなく、されるがままでいた。


「熱い……これ、酔っているんじゃなくて熱があるんですよ。大丈夫ですか?」

「熱? あー、昨日怠かったから風邪薬飲んで寝たんだけどな。朝も飲んだし。効いてないなら今夜も飲まないと……」

「今夜も飲む? 今日はお酒飲んでないんですか?」

「いや、飲んだよ」

「じゃ、薬飲んではいけません」


アルコールを飲んだあとに薬を飲むのは危険行為だ。池永さんは「なんでー?」と呑気に聞いてきたが、「危ないから」とだけ答えて、私は幹事の高橋さんのもとへ行った。


「池永さん、熱があるようなので帰らせますね。それで、私同じ方向なので送ります」

「ええっ! 熱? えっ、送る? 池永くんの家を知ってるの?」

「最寄り駅が同じだったので、多分近いはずです。だから、送ります。いいですよね?」

「もちろん、いいけど。気をつけて帰ってね」
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