包み愛~あなたの胸で眠らせて~
とりあえず、進んだ先にあったリビングのソファに座らせる。

ぐったりしている広海くんを湊人と見下ろした。

「うちから薬、持ってこようか?」

「あー、うん。あと、冷却シートとイオン飲料も持ってきてくれない?」

「了解」

さて、どうしようかな。湊人が出たあと、腕組みをしてリビングを見回す。

まずは着替えたほうがいいけど、見える範囲にパジャマらしきものは見当たらない。

寝室にあると思われるパジャマを取りに行きたいけど、勝手に入れない。どこまで入り込んでいいものかと躊躇われてしまう。

広海くんの肩に手を置いて、軽く揺すった。

「広海くん、広海くん……」

「んー」と、小さく唸ってゆっくりと目が開かれる。意識がぼんやりしているようで、焦点が定まっていない。

「着替えて寝たほうがいいよ。パジャマ持ってこようか?」

「パジャマ……」

「うん、パジャマ。どこにある? 寝室に入っていい?」

「あー、自分でやるからいい」

右手の甲を額に当てた広海くんは、辛そうながらも私の問いに答える。

自分でやると言っても動こうとする気配を見せない。
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