包み愛~あなたの胸で眠らせて~
湊人と共に広海くんの部屋を出る。後ろ髪を引かれる思いがして、歩きながら何度か振り返った。

そんな私に湊人が苦笑する。


「そんなに心配なら明日の朝、見に行きなよ」

「うん」


どんなに未練がましく思っても、今さら様子を見に戻れない。明日の朝まで我慢するしかないな。

明日は土曜日だから、ゆっくり寝ていてくれればいい。

しかし、やっと近付けたかと思ったけど、なんだか拒絶されたような……。

何年も会っていなかったから、昔のようにすぐ戻れないのは当然だけど、会えなかった分の距離を早く埋めたくなる。

焦ってもいいことはないかもしれないけど、広海くんにまた会えたこと、広海くんが私を覚えていてくれたことは本当に嬉しかった。だから、もっと近付きたい。


「明日の朝、お粥でも作って持っていこうかな」

「しつこくし過ぎて、嫌われないようにね」

「えー、なんでそんなこと言うのよ?」

「だってさ、これ以上入ってくるなという感じしなかった?」

「うん……そうなんだよね」


湊人が言うことを私も感じていた。昔友だちだったからといっても、踏み込んでいけない部分はあるだろう。
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