包み愛~あなたの胸で眠らせて~
しゅんと、切なく
マンションを出て、駅までの道に向かって目を凝らした。
いない。
振り返って、マンションの出入り口を見る。
いない。
広海くんはもう行ってしまったのかな。
お粥を届けられなかった私は土日、広海くんの姿を一度も見ることがなかった。
熱は下がっただろうか、ご飯はちゃんと食べているだろうかと何度も心配をして、何度も訪ねようと玄関まで行ったけど、靴さえも履けなかった。
会社に着いて「おはようございます」と海外事業課のドアをおそるおそる開ける。
広海くんがいるかどうか気になって、堂々と開けられないのだ。
「片瀬さん、おはよう。どうしたの?」
「あ、いえ。おはようございます」
高橋さんに手を振られて、私は姿勢良くした。こんな不振な動きをしたらかえって目立つ。目立つのは嫌だ。
そおっと視線を広海くんの方に向ける。彼は何かのファイルを開いていた。うん、顔色も良いし、元気そうだ。
自分のデスクに行き、パソコンが立ち上がるのを待っていると、「片瀬さん」と右斜め後ろから呼ばれる。呼んだのは広海くんだった。
いない。
振り返って、マンションの出入り口を見る。
いない。
広海くんはもう行ってしまったのかな。
お粥を届けられなかった私は土日、広海くんの姿を一度も見ることがなかった。
熱は下がっただろうか、ご飯はちゃんと食べているだろうかと何度も心配をして、何度も訪ねようと玄関まで行ったけど、靴さえも履けなかった。
会社に着いて「おはようございます」と海外事業課のドアをおそるおそる開ける。
広海くんがいるかどうか気になって、堂々と開けられないのだ。
「片瀬さん、おはよう。どうしたの?」
「あ、いえ。おはようございます」
高橋さんに手を振られて、私は姿勢良くした。こんな不振な動きをしたらかえって目立つ。目立つのは嫌だ。
そおっと視線を広海くんの方に向ける。彼は何かのファイルを開いていた。うん、顔色も良いし、元気そうだ。
自分のデスクに行き、パソコンが立ち上がるのを待っていると、「片瀬さん」と右斜め後ろから呼ばれる。呼んだのは広海くんだった。