包み愛～あなたの胸で眠らせて～
声を潜めて聞いてくるから何事かと思えば、気になる人？

咄嗟に浮かんだのは広海くんだけど、今ここで彼のことを話題に出したくはない。

だけど、星野さんの口から広海くんの名前が出た。


「私はですねー、うちの課で好みのタイプはいないんですが、海外事業課のほうで二人います」

「そうなの？」

「はい、堀田さんと池永さんです。基本明るい人が好きなんですけど、なんか影のある人も好きなんですよね」


明るい人とは堀田くんで、影のある人とは広海くんのことだ。真逆な二人なのに両方気になるとは星野さんらしい。

元気な星野さんには堀田くんが合いそうだけど、二人でいたら賑やか過ぎるかも。だからといって、広海くんは……と思ったが、頭をブンブンと軽く横に振る。

広海くんが昔の友達だったからと私があれこれ言えるものではない。

星野さんが広海くんを気にするのは自由だし、広海くんが誰かに想いを寄せるのも自由だ。付き合っている人はいないらしいけど、好きな人はいるかもしれない。
< 58 / 211 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop