包み愛～あなたの胸で眠らせて～
堀田くんは再び広海くんに視線を向けてから、課長のもとに行った。広海くんはというと、もういつもの涼しい顔でパソコンを見てる。

私も広海くんと食事をしながら話をしたい。離れていた今までのことを聞きたいし、私も話したい。

本当に予定があるのかな？

昼休みになってもデスクから離れる気配のない広海くんを何度か見てから、立ち上がった。気にしていても誘う勇気はない。


「片瀬さん、ごめん。私、今日は同期の人と約束しているのよ」

「分かりました。私は大丈夫なので、どうぞ行ってきてください」

「ありがとう！」


高橋さんは私のことを気にかけてくれていて、都合がつけば一緒にランチをしてくれる。だけど、彼女は今日みたいに他の人と食べることも少なくない。

高橋さんが急いで出ていくのを見送ってから、課内を見回す。残っている人は数人しかいない。

今日はサンドイッチでも買ってきて、ここで食べようかなと思いながら、まだ残っている広海くんに近付いた。

彼はキーボードを忙しく叩いている。
< 62 / 211 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop