包み愛~あなたの胸で眠らせて~
九時になり、私は課長の隣に立った。課長が朝の挨拶と連絡事項を話していても、みんなの視線は私に向いている。
身をどこかに隠したい気分だ。
「……それと、こちらが今日からうちで働いてくれる片瀬さんです」
優しく微笑んで頷く課長に私も頷き返して、顔を真っ直ぐ前に向けた。手は震えないようお腹の辺りでしっかり重ねる。
「おはようございます。本日よりお世話になります、片瀬紗世と申します。みなさんのお役に立てるよう精一杯頑張りますので、ご指導くださいますようよろしくお願いいたします」
緊張しながらもスムーズに言えた。最後に頭を下げると、たくさんの拍手が聞こえる。とりあえずは、これでひと安心。まだまだ油断は出来ないけれど。
この課のメンバーは三十人くらいで、一人一人が名乗って挨拶をしてくれた。今はまだ覚えられそうもない。でも、数日すれば覚えられるだろう。
「片瀬さんの席は、高橋さんの隣になります」
先程名乗ってくれた人の中にいるのだろうけど、どの人か把握できていない。
三十代半ばと思われる丸顔の女性が手をあげた。その人が高橋さんらしい。
私は高橋さんの前へ行き「よろしくお願いします」と頭を下げた。
「高橋真希(まき)です。よろしくね」
高橋さんはもう一度名乗ってくれてにこやかに笑ってくれた。いい人そうだというのが第一印象だ。
身をどこかに隠したい気分だ。
「……それと、こちらが今日からうちで働いてくれる片瀬さんです」
優しく微笑んで頷く課長に私も頷き返して、顔を真っ直ぐ前に向けた。手は震えないようお腹の辺りでしっかり重ねる。
「おはようございます。本日よりお世話になります、片瀬紗世と申します。みなさんのお役に立てるよう精一杯頑張りますので、ご指導くださいますようよろしくお願いいたします」
緊張しながらもスムーズに言えた。最後に頭を下げると、たくさんの拍手が聞こえる。とりあえずは、これでひと安心。まだまだ油断は出来ないけれど。
この課のメンバーは三十人くらいで、一人一人が名乗って挨拶をしてくれた。今はまだ覚えられそうもない。でも、数日すれば覚えられるだろう。
「片瀬さんの席は、高橋さんの隣になります」
先程名乗ってくれた人の中にいるのだろうけど、どの人か把握できていない。
三十代半ばと思われる丸顔の女性が手をあげた。その人が高橋さんらしい。
私は高橋さんの前へ行き「よろしくお願いします」と頭を下げた。
「高橋真希(まき)です。よろしくね」
高橋さんはもう一度名乗ってくれてにこやかに笑ってくれた。いい人そうだというのが第一印象だ。