包み愛～あなたの胸で眠らせて～
確かに仕事で行っているんだから、仕事に決まっている。だけど、もう少し違うことを話してくれないかな。


「あの！ 海外出張って、どういう過程から出張することになるんですか？」


素っ気ない返事に会話を続ける気が失せた私の代わりに、堀田くんが質問する。

こういう質問は後輩である堀田くんがしたほうが広海くんもちゃんと答えてくれるに違いない。


「必要になったらなんだけどね。基本電話やメールなどで打ち合わせや意志疎通は出来るけど、より信頼関係を築くためとか実際に見たほうがいいとかそういう時になったら行くかな。今回はニューヨーク郊外で来年に大きなショッピングモールが出来る予定になっていて、そこにうちの商品を取り扱ってもらうために行った。ニューヨーク支店からの要請でね」

「ニューヨーク支店では対処できなかったんですか？」

「ちょっとトラブってね」

「そうか、だから急の出張だったんですね」


どんなトラブルかまでは説明しなかったが、堀田くんはきちんと返事をしてくれたこと安心して、別の質問へと話は続く。
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