包み愛~あなたの胸で眠らせて~
広海くんと堀田くんの話が一段落すると、星野さんが待っていたように口を開いた。

「私ニューヨークには行ったことないんですけど、どんな街ですか?」

「活気溢れる街かな」

「それはどういうところが?」

「世界各国から人が集まっているところ」

「やっぱり世界の最先端と言われる街なんですね!」

広海くんは星野さんの質問にもちゃんと答えてはいるが、堀田くんへの返事と返し方が違う。

堀田くんにはちゃんと目を合わせてハキハキと答えるのに対し、星野さんに答えるときは手元の皿の料理を見ながらで小声だ。

どうでもいいというか、つまらない質問だと思っているのかもしれない。

だけど、会話をするときはその人の顔を少しでも見るべきなのでは……星野さんを全然見ていないから変だなと首を傾げてしまう。

私がした最初の質問にはどうだった?

素っ気ない返事で……感情のない目ではあったけど、一瞬合っていたような?

「池永くん、あ、さん。池永さん」

「あははっ! 片瀬さん、どうしたんですか? もう酔ってます?」

堀田くんに笑われた。

「えっ? あー、うん、ちょっと酔ったかも。はは……」
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