包み愛~あなたの胸で眠らせて~
私の好みの人って、どうしてそんな話になるのよ?

星野さんは自分をアピールするんじゃなかったの?

私の好みなんて、聞いても意味ないと思うのに。

だけど、二人に聞かれて、広海くんまでじっとこちらを見るから答えないわけにはいかなくなる。

好み?

どんな人が好きだった?

考えたことがない……。


「別に好みとかないけど、だからといって誰でもいいんじゃないけど」


答えになってない答えだけど、こうだと断言できる好みはない。


「つまり、好きになった人が好みの人だということですか?」

「そうなのかも」

「あー、でも、そういうの分かりますね」


星野さんはポンと手を叩いてうんうんと頷いた。堀田くんも「分かるかも」と頷く。

広海くんだけが納得したのかしてないのか分からないが、いまだにじっと見ていて私はどこを見ていいか分からず、目を泳がせる。


「じゃあ、付き合っていた人はどんな人だったんですか?」

「星野さん。今その話は……」

「わっ、片瀬さんの元カレ? 俺も聞きたいです!」
< 88 / 211 >

この作品をシェア

pagetop