包み愛~あなたの胸で眠らせて~
彼だけではなく私自身も安堵した。出そうと思っても出せない自分が苦しかったからだ。

私が付き合ったのは一人だけ。彼から告白されて付き合ったけど、私もちゃんと好きだった。だからこそ苦しかったけど、別れたことで気持ちは楽になった。

苦しかった気持ちを話し、三人の反応を見る。

広海くんは唐揚げを静かに食べていた。

星野さんは唐揚げを半分口に入れて、うんうんと頷いていた。

堀田くんは……唐揚げを頬張りぬがら「なんとなく分かります』と言う。


「恋愛って、告白して付き合ってがゴールではないですよね」


星野さんがしみじみと言い、残りの唐揚げを口に放り込む。


「そうですね。付き合えたことはもちろん幸せなんだけど、その先辛くなることはありますよね。恋愛ってほんと難しい」


堀田くんもしみじみ。

私の話でみんなが神妙な面持ちになってしまった。重苦しくなっている空気を変えなくては……。


「ごめんなさい、つまらない話をしてしまって。この唐揚げ、美味しいですね! 堀田さんや池永さんは自分で料理します?」
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