包み愛~あなたの胸で眠らせて~
湊人の大きな声が聞こえて、私はまた振り返った。湊人が挨拶した相手は、広海くんだった。
「おはようございます。ごめん」
広海くんは、突然謝った。身に覚えのない湊人はキョトンとする。
「えっ、なんでいきなり謝るの?」
「湊人だと気付かなくて」
「ああ、そのこと! 紗世ちゃんから聞きました。俺が紗世ちゃんの彼氏だと思っていたとか。でも、そんなのわざわざ謝らなくてもいいのに。全然気にしていないから」
理由を聞いた湊人が笑う。
私が誤解されていたことを話したら「やっぱりそうだったんだ」とその時も笑っていた。
律儀に謝るところが広海くんらしい。私は広海くんを呼んだ。
「広海くん、行かないと遅れるよ」
広海くんは私に視線を移して、頷く。
「ああ、行こう」
「二人とも行ってらっしゃい!」
再度湊人に見送られて、私の隣に並んだ広海くんと歩きだす。
二度も立ち止まってしまったから、乗る予定にしていた電車には、もう間に合わない。次の電車でも始業時間前には到着出来るから、それほど慌てなくても大丈夫だと時間を確認した。
でも、これ以上立ち話をしている余裕はない。歩きながら、顔を横に向けた。
「おはようございます。ごめん」
広海くんは、突然謝った。身に覚えのない湊人はキョトンとする。
「えっ、なんでいきなり謝るの?」
「湊人だと気付かなくて」
「ああ、そのこと! 紗世ちゃんから聞きました。俺が紗世ちゃんの彼氏だと思っていたとか。でも、そんなのわざわざ謝らなくてもいいのに。全然気にしていないから」
理由を聞いた湊人が笑う。
私が誤解されていたことを話したら「やっぱりそうだったんだ」とその時も笑っていた。
律儀に謝るところが広海くんらしい。私は広海くんを呼んだ。
「広海くん、行かないと遅れるよ」
広海くんは私に視線を移して、頷く。
「ああ、行こう」
「二人とも行ってらっしゃい!」
再度湊人に見送られて、私の隣に並んだ広海くんと歩きだす。
二度も立ち止まってしまったから、乗る予定にしていた電車には、もう間に合わない。次の電車でも始業時間前には到着出来るから、それほど慌てなくても大丈夫だと時間を確認した。
でも、これ以上立ち話をしている余裕はない。歩きながら、顔を横に向けた。