甘酸っぱい恋の味【LOVEドロップス企画参加作品】
「美味すぎる! もう1個食べていい?」
笑顔で袋に手を伸ばす。
「全部食べて」
ホッとした気持ちが口から出た。
美味すぎる! その表現が美化されてる気がする。
でも……それでもうれしかった。
だって、この自然に伸びた手はウソじゃないんだよね?
それが何よりもの気持ちだよね?
「結衣、タルト作るの、上手いね」
「ありがとう」
隼くんのためだからだよ。
一生懸命練習したからだよ。
結局、5つ持ってきたタルトを隼くんは3つ食べて、わたしは1つ食べた。
残りの1つは家で食べるからって食べるのを惜しそうに紙袋の口を閉じた。
おいしいって言ってくれたことも、むさぼるように食べる姿も、
わたしにとっては何よりにも変えがたいこと。
それを感じれただけでも幸せだよ。