甘酸っぱい恋の味【LOVEドロップス企画参加作品】
「うん。結衣にはちゃんと言っておこうと思って」
隼くんがまっすぐわたしを見た。
この時の隼くんの強い瞳は今でも忘れられない。
「実はさ、オレの両親の離婚が決まったんだ」
「離婚……?」
聞きなれない言葉に自分の顔が歪むのが分かった。
「うん……2年くらい前からさ、その話は出てたんだけど、
いろいろあって、先週、正式に決まったんだ」
そう、淡々と話す隼くんの気持ちが見えない。
多分、すごく辛いんだろうけど、それを見せないようにしている気もする。
「それで、オレは母さんについて、九州に行くことにしたんだ」
「九州?」
思わず声が大きくなる。