コーヒーの薫りで
彼と出会ったのは幼稚園のとき。
小さな町の幼稚園で、地域の子たち達はみんなそこに通っていた。
そのまま、小中学校に揃って進学するので、みんなの仲はとてもよかった。

彼は当時、背も高く、顔立ちもよく、もちろん勉強も、運動もできるということで、女子からも男子からも人気があった。

私が恋心を自覚したのは小学5年生のとき。
でも、人気者の彼にきもちを伝える勇気はなく、そっと心に秘めて友達としてふるまっていた。

幼稚園、小中学校を共にしていても、さすがに高校は一緒ではなく…成績優秀だった彼は、私たちの大半が行く地元の高校ではなく、隣の市の進学校に進学した。

中学の卒業式の日。
勇気をふりしぼって、彼と連絡先を交換した。
彼は笑顔で「いいよ。」と応じてくれて、うれしかった。

でも、私から連絡する勇気はなく、彼から連絡が来ることもなく今に至る。

あれから、私も恋をしたし付き合った人もいる。でも。ふとした時に彼を思い出す。
彼は今どこにいるのだろう。元気にしているのだろうか……

彼から連絡がくるはずがないと思いながらも、なんとなくアドレスはかえられずにいる。。。
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